よく巷で冬場に冬季トレーニングという言葉をお目にかけると思う。もちろん長距離ランナーにとってもそう言った言葉は存在します。私自身でも指導しているジュニアの方々に冬場だけのトレーニングメニューをお渡しして行ってもらっています。
そもそも長距離ランナーにおいて、生活環境と季節が変わらなければ、冬季トレーニングは必要ありません。1年間を通して周期的なトレーニングを続けて行けば良い。しかし、日本の長距離ランナーの環境は、気温の低下、休日増によるトレーニング時間の増、そしてトラックシーズンのオフによる体を仕上げる必要性の無さ、それらから冬季トレーニングと言うメニューが発生するのである。
先ずは、その事を知っておいて欲しい。
指導者によっては、矛盾だらけの冬季トレーニングを行う方もおられます。そのメニューが本当に必要か必要出ないかは、それで選別すればと思う。
長距離ランナーにおいての冬季トレーニングのメニュー中心は、jog等の走り込みです。そうなる理由が何故なのかと言うと、
①気温が低い時期での速いスピードトレーニングは、寒さによるシンスプリント、腸脛靭帯炎、足底筋膜炎、アキレス腱炎、ランナーズニー、肉離れ、心肺系の疾患になるリスクが高くなる。
②トレーニングに時間が取れる為、伸ばすのに時間が掛かるが、トラック競技のシーズンオフのこの時期にやっておきたい有酸素能力の更なるアップを目指す。
③陸上競技全般がそうなのですが、シーズンオフのこの時期に身体を作り直す目的の為、短距離選手がウェイトトレーニングや動き作りに時間を割くのと同様に長距離ランナーはjogに時間を割くのである。
そもそも、日本はトラックシーズンのオフに駅伝があり、そちらがメインのような風潮になってしまっている。そんな環境は日本だけです。日本が世界から取り残されている理由がそこに無いとは言えないと私は思います。
さて、冬季トレーニングだからと言って短距離選手のようにウェイトトレーニングやサーキットトレーニングをこの時期だけに取り入れる指導者がいる。ウェイトトレーニングについては全否定はしない。ただ、長距離ランナーにとってウェイトトレーニングはあくまで補助的なトレーニングである。行う必要があるのであれば、同部位を回復時間の24~48時間空けて継続しないと意味を持たないし、ウェイトトレーニングよりかはjogを優先し、時間を割くべきです。サーキットトレーニングについては問題外。冬季トレーニング=サーキットトレーニングという昔からの風潮があり、ただただそれを行っているだけに思える。本当に必要であれば、年間を通して行うべきだろうし、それを行わないのはそのトレーニングが必要無いからだ。そもそも、サーキットトレーニングを行って普段と違う筋肉が筋肉痛になるのは、長距離ランナーにとって走るのに必要の無い所を鍛えているからです。これから強い長距離ランナーを育てる上で、こう言った古い冬季トレーニングの考え方は排除すべきだと私は思いますね。
トレーニングには、一つ一つに行う目的を持っています。その目的を良く考え、日本の環境やトラックシーズンに適したトレーニングの進め方が競技力向上の鍵となるのではないでしょうか。
まあ、トラック競技を中心と考えた場合、駅伝という競技は、私の中ではその時期に必要なトレーニングが積めない、そして故障リスクが高い時間ロスに感じてしまいますが…。