兵庫RC(ランニングクラブ)

小学生から大人まで幅広い層のチームでの様々な連絡や報告、そして私の考え方や理論を上げて行きます。

東アフリカ勢と日本人の力の差の原因

東アフリカ勢のランナーが日本のランナーより格段と強い理由、それには大きく4つの条件が考えられる。

 

環境、食生活、精神、国民の関心

 

先天性的な生まれて来た時の人種の資質の差はあるかもしれませんが、筋肉の細胞の数に大きな差が無い事や日本の短距離界が遅い訳では無い事による筋比率の点からも、それほど大きな要因だと私は思わない。むしろ、上記の後天性的な要因が大きいはずなのだ。

 

①環境

日本は先進国であるが故に、走る場所が整備されている。道路は舗装され、トラックはオールウェザーでフラット。災害にも強く天候にも左右されにくい。標高も低く生活しやすい環境です。しかし、競技力を高める為には、その利便性の高さがマイナス要因となっている。舗装された道路やオールウェザーのトラックは反発が高く、芝生や土で走る時のように、自らが地面を足で捉えて乗り込む動作を抑えてしまう。そして足への負担が大きい為に故障のリスクが大きくなったり、トレーニングでの追い込み量を抑制してしまう。また整ったランニングコースは上半身を無理せずに軸が中心を捉えるので、上半身のバランス感覚が磨けない事や、体軸付近のインナーマッスルが弱い事により地面から受ける反発を大きく得られない。そして高地より空気中の酸素量が多い環境は少ない酸素量を出来る限り取り込もうとする高地生活の人々より酸素摂取能力が劣ってしまう。つまり、有酸素能力が生活環境だけで差が付いてしまっている訳である。

 

これらの事実から、ランニングエコノミーと酸素運搬能力が東アフリカのランナーより低くなる。

 

②食生活

現代の日本人は食に困る事はほとんど無い。大体の方が幼い頃から行き届いた栄養のもと生活を送る事が出来ている。ですから、東アフリカの人々に比べると骨格はシッカリとしていますし、身長も高く、筋肉も大きく付いている。その分パワーもあるだろうが、重量もある。特に下半身に比べて上半身の比重は高いはずだ。車で例えると東アフリカの方々がボディの軽いフェラーリやポルシェなどのスポーツカーだとすると日本人はベンツやBMWなどの高級車と行った所だろうか。つまり、馬力はあっても重量がある分スピードが鈍ると言う事だ。特に東アフリカの子供達は小さい頃から学校に通う為に何10kmの道のりを日々往復している訳である。成長期の時期に大きなエネルギーを使って走っているのだからスリムな体型になるはずだ。

 

③精神

根性論を言う訳ではない。ただ生きる為の貪欲さが全然日本人とは違う。貧しい環境、這い上がって行くだけの自分の立場。どんな小さいチャンスでも捕まえたいと言う気持ちが日本人とは全然違う。それは私自身もSNSで東アフリカのランナーと接して感じた事だ。行ってはいけない悪い事だがドーピングをしてでも勝ち上がろうとするのは、そう言う所から来ているのだろう。

 

④国民の関心

日本と比べて陸上競技の中長距離種目の関心度が全然違う。日本の人口が1億2000万人に対してケニアの人口は5000万人、エチオピアの人口は1億人。しかし、アスリートランナーの数は日本人とは全然違う。それは、日本には野球やサッカー、ゴルフやテニス、バスケットボールやバレーボール、卓球や水泳、体操や柔道、ボクシングや相撲、レスリングやスキーやスケート、その他にも様々なスポーツがあり、競技の関心が分散してしまっているからだ。競技をする側も応援する側も。その事が資質ある子をアスリートランナーに目を向けられずにいるのだ。つまり、ダイヤの原石が違うスポーツを行っている可能性が高いのだ。

 

上述のこの4つの条件が日本人にも嵌まる事が出来たならば、日本人はきっと東アフリカ勢に近づくと私は信じている。

 

日本で競技をしている東アフリカのランナー達が若いうちから断トツな力を発揮しているからと行って臆する事は無い。

 

彼らは現地エージェントによって選ばれた有数なランナーだから。そして、若いうちから高地の環境で生活をしている分、日常から常に負荷の掛かった状況を体感し、有酸素能力が日本人より早くから開発出来ている。しかし、人間にはリミットがある。だとすれば、現時点から更なる大幅な伸び幅を見せるかどうかは疑問だ。

 

要するに高校や大学時の差は時間を掛ければ詰まると私は思うのだ。

 

小さい頃から整備されていない環境下、山道や丘や砂浜でのランニング、スピードトレーニングを行う場所は土のトラック、その中で小中学校からゆっくり長い距離を走る。必ず強くなると自分に自信を持って、貪欲に指導を受け、納得が行くまで話しを聞き、決して諦めない。

 

そして陸上競技の中長距離種目が日本の中で大きな収入と知名度が得られるスポーツと変化した瞬間、東アフリカ勢の中に食い込む日本人が現れると私は信じている。