兵庫RC(ランニングクラブ)

小学生から大人まで幅広い層のチームでの様々な連絡や報告、そして私の考え方や理論を上げて行きます。

ペース走と速いjogは必要でしょうか

先日、チームの教え子がペース走と速いjogが必要かについてnoteにあげていたので、私も私なりに見解を述べたいなと思います。まず、ペース走と速いjogはトレーニング内容が異なるので、分離して考えなければならない。

そもそも、トレーニングと言うのはそれぞれ全てに目的と狙いが存在する。あれにもこれにも効果があるとか、ぼんやりとした効果つまりグレー的な存在のトレーニングであってはいけない。そう言うトレーニングは効率的ではなく、それに変わる効果の良いトレーニングがしっかりと構築されているはずだからだ。トレーニングを行う場合、むしろそう言ったトレーニングを行うべきなのである。競技人生は限られている。特に陸上競技中長距離種目は多少前後はあるでしょうが25歳を境に体力の低下が見え出してくる。短い体のピークに無駄なトレーニングや非効率なトレーニングは悪としかならないのである。

それらを踏まえると、ペース走は適応する競技種目が限定され、速いjogについては目的が曖昧なので行う必要がないと考える。

ペース走と言うのは、別名テンポ走と言われ、一定ペースをリズミカルに走るのが狙いである。リズミカルに走る事で、体内に無理な力みを外し、楽に走れるようになると考えられている。そもそも、レースで楽に走れるトレーニングは、トレーニング中に行う必要がなくレースの経験の中で身に付けるとよい。何故ならトレーニング中に楽に走れると言う事は、スピードトレーニングとしての負荷が弱い。トラック種目1500m~10000mではペースの波は一定ではなく、その中で自分の中の体感リズムを乱さないようにしながら緊張と緩和を一定近くに保ち続けるのである。要するに、そこにペース走と言うトレーニングは有っても無くても大した効果的な影響は見せないのだ。それらが必要とされるのは、体への負担が大きくて高い頻度で参加出来ないレース、一定なペースの持続が求められるレース、つまり20km以降~のレース、ほぼロードレースとなるでしょう。もしくは競技歴が浅く、レース歴が浅いがため、リズム感が掴めていない方や、足への衝撃負担を抑える為が目的の体の成長過程の方ならって感じです。いずれにしても、トラック競技をされている方が主に行うトレーニングではないと私は言える。

速いjogと言うのは、先程述べたように目的や狙いが曖昧である。そもそも、jogの目的は有酸素能力の維持や向上、遅筋の維持や向上、積極的休養、この3点が目的であり狙いである。それ以外はない。それらは速く走らなくてもゆっくりでも効果をもたらすのである。では、何故速く走ってしまうのだろうか。速く走れば速くなると錯覚するからだ。逆に速いjogをすればどうなるかを考えて行きたい。有酸素能力の維持や向上は起こる。ゆっくり走るのが毛細血管の拡がりからエネルギーを産む酸素供給量の増加に伴う有酸素能力の向上に対して、速いjogがAT/LT値辺りであれば閾値強化につながり有酸素能力を向上させる。遅筋の維持や向上も、ゆっくり走っても速く走っても活動されるので向上に繋がります。ただし大きな違いは、疲労の回復にある。速いjogには、積極的休養の効果はない。逆に速筋も動員し、絶えず筋疲労が起こった状態になる。要するに、スピードトレーニングで使われた筋肉が、回復されないまま次のスピードトレーニングに移行され、ダメージが上増しされてオーバーワークの現象になってしまうのだ。オーバーワークになりますと、記録の低下、そして最悪な結果は故障を引き起こす要因となります。これら以外にも、速いjogはゆっくりのjogよりも着地の衝撃が高く、心肺への負担や内臓への負担が高いので、あらゆる障害を引き起こす可能性が上がるのである。速いjogと言うのがスピードトレーニングの位置付けとしては負荷が低く、通常のjogとしては疲労が抜けない、中途半端なトレーニングとなってしまうので、私はお勧め出来ない。

最初に述べた通り、トレーニングには明確な目的や狙いがあり、それらを持ったトレーニングをバランスを考えて、メリハリを付けて行う事で効率的なトレーニングとなり得るのである。