ランニングフォームは、色々なフォームがあります。まず始めに伝えたい事は、人それぞれ身長・体重・骨格バランス・筋力バランス・体感リズムが違うと言う事です。
自分が理想とするフォームが必ずしも他の人にも理想であるとは限らないのです。ですから、強要はご法度です。
①接地の観点から見たフォームの違い
走る時の着地(いわゆる接地)は、足裏のどの部分で着地するかによって、大きく分けて3つあります。つま先から着地するフォアフット、足裏中心近くで着地するミッドフット、そしてカカトから着地するヒールストライク。
ヒールストライクは、カカトから着地して前移動を行い、足が地面から離れます(つま先から抜ける)。なので、体の軸よりも前で接地すると考えて下さい。
ヒールストライクとは違い、フォアフットやミッドフットは着地からそのまま足が地面から離れます(前進するのですから少しの前移動はあります)。なので、体の軸真下近くで接地する事となります。
要するに、ヒールストライクはフォアフットやミッドフットと少し異なるフォームだと考えられるでしょう。
例えば、ヒールストライクの人にフォアフットやミッドフットの着地だけを変えてしまうと、足は体の軸より前に残るので、体の重心が後ろに下がり腰が落ちると言う訳です。
逆にヒールストライクの人が体の真下で着地を強要するとつんのめった状態(実際には無理だと思います)になるでしょう。
接地を変える時は、その点も考えながら取り組まなければなりません。
②歩幅とピッチから見たフォームの違い
良く聞かれると思いますが、ストライド走法とピッチ走法についてです。
ストライドには限りがあり、ピッチにはストライドより伸び幅がある為、極端にピッチを強要する指導者がいます。
しかし、人には体の作りから向き不向きがあり、ピッチが上げにくい人に歩幅を抑えてピッチ走法に変えると言う事は、スピードの低下に繋がるのです。
逆に、歩幅の狭い人にストライド走法を強要するとオーバーストライドとなり、走るリズムが取りにくくなり、そしてピッチも低下、その結果こちらもスピードの低下に繋がります。
③腕を振る振らないと言うフォームについて
必要以上に腕を振れと言う指導者がおります。その方は、なぜ腕を振るのかと言う本当の意味が分かっていない方だと私は思います。
腕を振るのは、背骨に捻れの動きを与え、その捻れから骨盤を揺らす為だと言う事です。
骨盤の左右を前後に揺らせると、無理な力なくストライドを広げられると言う事、又は大事な局面でストライドを広げてスピードを速める事が可能になると言う事です(ラストスパート)。
しかし、大事なのは腕を振る事ではありません。骨盤の左右を前後に揺らす事です(実際は、上下にも揺らす事が必要)。
ですから、骨盤が動かせるのであれば、極端な腕振りは必要ありません。腕が無ければ走れない訳ではないですから…。
ましてや、腕はリズムを取って、リズム良く走る為にも使われます。その点が崩れるならば、かえってスピード維持力は落ちる事となるでしょう。
フォームについてはもっと細かい点もありますが、①②③の点からも変えると言うのは容易では無い事。変えるならば、指導者としてはその責任も持って頂きたい。そして選手は、変える事への覚悟が必要ではないかと思います。